文化・芸術

翻訳英文法技法1「頭から訳す」

「翻訳上達通信」~柴田プロフェッサーの翻訳レッスン~ 
 
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柴田裕之(しばたやすし
 プロフィール:翻訳家、バベル翻訳大学院(USA) プロフェッサー。早稲田大学卒業。

最近の訳書
最近出た訳書をご紹介します。ニコラス・ハンフリー著『赤を見る』
(紀伊国屋書店)です。進化論を重視する心理学者・哲学者の著者が、ハーヴァー
 ド大学で真っ赤なスクリーンを前に行なった、意識の正体に迫る講演をもとに
 した作品です

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 こんにちは。柴田裕之です。ふだん、お目にかかる機会のないみなさんに、
このブログで、翻訳のレッスンや勉強の仕方、仕事に関することなど、
お話をしていきたいと思います。翻訳学習中の方や、これから翻訳を勉強してみたい方の
ヒントになればと思います。
どうぞよろしく。

 ときどき、「翻訳者になるには才能が必要ですよね」といわれることがありま
す。

けれど、長年大勢の受講生を見てきた経験から言うと、最初から才能が際立って
いる人はほんの一握りです。そうしたごく少数にはいれなくても、翻訳の仕事を
するようになった方はたくさんいますから、才能について悩むより、まずは勉強
を、ということでしょう。

翻訳は技術ですから。

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さて、本題に入る前に、翻訳の技術についてお話しします。
このブログで、毎回「バベル翻訳英文法」を紹介していきます。
32年前から翻訳者を養成している翻訳スクールバベルで、開発された技法なんです。

文芸翻訳の場合、原文は毎回すべてちがうので、臨機応変が建前ですが、英語の
構文や発想を日本語の構文や発想に転換する点は共通しています。

この転換の原則を体系的にまとめ翻訳変換技術にしたのが翻訳英文法なのです。
これをマスターすれば、転換作業の基本が確立され、翻訳の質も効率もあがる
ことでしょう。

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今日のポイント
■翻訳英文法技法1「頭から訳す」
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さて、最初に取りあげるポイントは、「頭から訳す」です。

英語と日本語の大きな違いのひとつに語順があります。ふつう英語では主語と動詞
が先にきて、目的語や補語、関係詞節などがあとに続きます。

一方、日本語では主語が最初に、述語が最後にきます。そのため、あくまでこの
形にこだわると、訳文の主語と述語が離れすぎたり、原文の流れが乱れて不自然
になったりしかねません。そこで、頭から訳すという技法が有効になってきます。

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■では次の英文を翻訳してみましょう
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 They led the two prisoners uphill to a place where there was a big clearing.

★ヒント1
 led=lead(導く、連れていく)の過去形
 prisoner=囚人、捕虜
 uphill=丘の上へ
 clearing=空き地

Aさんの訳
「彼らは大きな空き地がある場所へ丘をのぼってふたりの囚人を連れていった。」
これは直訳で、何を言っているのかわかりませんね。

★ヒント2
後半のwhere以下が訳文でも後半にくるようにします。まずuphillまで訳し、
 そのあとどうなったかを考えましょう。

Bさんの訳
「彼らはふたりの囚人を連れて丘を登り、大きな空き地に出た。」
 
これは、上手ですね。これが頭から訳す技法を使っている訳文です。

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★直訳と翻訳の違い、わかりましたか?
翻訳英文法の技法を使うと、読みやすい文章に変身!

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チャレンジ!

では次の練習問題にチャレンジしてみてください。
訳文をコメントに書いてくださいね。次回、訳例と優秀者ベスト5を発表をします。


問題
Three and half hours after his arrival in Paris, Andre entered
the Ambassador's office in the American Embassy.

●直訳だと
  彼のパリ到着の三時間半後、アンドレはアメリカ大使館の大使執務室に入った。

【ヒント】
his arrivalを読みほどきます。hisがAndreを指す代名詞の所有格であることに注意し、
前半と後半の主語が別人であるような印象を与えないようにしてください。

 Ambassdor's office=大使執務室
 embassy=大使館

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翻訳は楽しかったですか?楽しければしめたもの。(^_^)V

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